街頭防犯カメラの映像が鮮明でないと証拠にならないこともあります
2020年12月10日 16時45分
2016年の大阪の事件がそれです。
路上で女性からバッグを奪ってけがをさせ、強盗致死罪に問われた30歳の男性の裁判員裁判で無罪判決を言い渡されたのです。
無罪判決の理由で、検察が証拠として提出した街頭防犯カメラの映像が素鮮明で情報が不足しており、犯人であることに合理的な疑いが残るというものでした。
つまり映像が不鮮明だから証拠にならないのです。
こういった事例のように、街頭防犯カメラが設置されていても、映像が不鮮明である場合は証拠にならない事案はこれからも増えてくるでしょう。
では、どうして映像が不鮮明になったのでしょうか?
(1)街頭防犯カメラの解像度が40万画素程度で低かった
(2)街頭防犯カメラから犯人までの距離が遠かった
(3)街頭防犯カメラの高感度機能が低スペックだったから残像やノイズが多かった
こういったことが想定されます。
これから街頭防犯カメラの設置を考えていたり、古くなった街頭防犯カメラシステムの入れ替えを予定しているならば、
こういった事例を参考にしておきましょう。
解像度が40万画素クラスの街頭防犯カメラでは、自動車のナンバープレートの読み取りもできません。
人相識別もできないでしょう。街頭防犯カメラの真正面に犯人が撮影されていて、レンズから3メートル程度の距離ならば識別できるでしょう。
しかし、そういったベストアングルで犯罪行為が行われる確率は少ないです。
解像度の低い街頭防犯カメラの場合は次のようなイメージです。
・男性か女性かの判別はできる
・痩せているか太っているかの違いがわかる
・何色の服かは分かる
・手に何か持っているのは分かる
こういった程度の証拠映像にしかなりません。だから警察に「この映像では犯人の特定は厳しい」と言われてしまいます。
画像解析する方法もあります。ですが、警察の画像解析は犯罪の重要度によって優先順位が決められています。
実際には解析してもらえないことが多いです。画像解析精度は毎年向上しています。
しかし、元の画像が40万画素程度のものがどれだけ画像解析しても高画質になるはずもありません。
もしも解析してもらっても有力な証拠にはならないでしょう。